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週末にイギリス南西部のコーンウォール地方を車で周りながら仕入れて来ました。田舎のアンティーク市に行ったのですがまあ当たりもあればハズレもあるわけで、ぼちぼちでしたが中々良いドローイングを数枚手に入れることが出来ました。左と真ん中の写真ですが、大きさは大体30cm✖️20cmくらいの物。18世紀末生まれでオックスフォード大学を出た後にコーンウォール地方でイギリス国教会の教区主管者代理をしていた人が描いた物です。中々の絵でとても気に入り買って来ました。久し振りにいい絵を買いました。18、19世紀の有名な風景画家の素描と較べても大きな見劣りはしないと思います。ヴィクトリア時代初期はこのようにアッパーミドルクラスくらいの人で医師や弁護士など他の仕事をしながら水彩画などを余技と言うか趣味で描き続けた人が少なからずいるようです。僕は中国や日本の南画に通じるものをこのような人が描く水彩や素描に何処となく感じ始めています。売るための絵ではなく、当時の知識階級の人たちが自分の為に描き続けたもの、職業画家とは一線を画したところで描かれたもの。産業革命最盛期にそこに背を向けて湖水地方などの風景、自然の美に趣く人たち。恐らく彼らはラスキンやコールリッジの思想からも影響を受けていたはずです。そんな人たちが描いたものが欲しいなと思っていたところ偶然コーンウォールの田舎にあった訳です。これからもこのような絵を色んなところに出向いて探して行きたいと思います。
右の写真はロンドンへ帰る電車に乗るときに撮ったものです。
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先ほどからこのページに文章を書いていて記事を更新しようと更新ボタンをクリックするとネット接続が悪いのか、一回目の原稿がボツになり、更に二回目の原稿もなぜか変なボタンに触れてしまいまたもやボツ。ボツボツで、これで三回目の記事。一度書いた文章は二回目は書かない。だってもう自分の中でシラケてるから。三で言えば、もうこっちに来てから三週間。今回は珍しく身体に疲れが余り溜まっていない。とても良いこと。お金もまだ少し取ってある。体力が落ちると物を引き付ける力、引力のようなものが弱くなるので仕入れるのに体力は重要。お金がなかったら借金すれば良いが体力は借りられない。いつもなら今頃は Boots(薬屋のチェン店) で売っている朝鮮人参入りの強壮剤を飲みながら何とか動いているのだが、今回はその強壮剤はベッドサイドのテーブルに置かれたまま殆ど手を付けていない。昔は買い付け中に中々休む勇気がなく、経費を使ってこっちに来ているからと、毎日何かしら仕事をしていた。貧乏性は中々抜けない。それが最近は変わって来て休むときは休む。それはここ一週間のこのブログの更新頻度からもお察し頂けるはず。休むのにも自信がいる。それは自分が最近学んだことかも知れない。
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夜の九時頃近くにある高級スーパー、Waitrose まで買い物に出掛けました。酸味のあるライ麦パンの薄くて重いやつがここにしか売っておらず、もっと近くに他のスーパーがあるのですがわざわざ Waitrose まで行った次第です。このパンにチーズとハムと多少の野菜を挟みたっぷりマスタードを塗り込んでサンドにすると堪らなく美味しいのです。
買い物の帰りいつも通る大通りを逸れて裏道に入りました、もうさすがに薄暗くなり始めています。道は不思議なもので少し逸れていくだけで色風情ががらりと変わります。ちょっと肌で感じる雰囲気でそう危険な通りではないことを確認しながら立ち止まり、カメラで写真を撮ります。真ん中の写真がその時のもの、袋小道になっているような裏道から見える在り来たりの普通のものに見えながらちょっと不思議な感じのする窓の灯りに惹かれてシャッターを切りました。海外でまったく知らない場所を夕暮れに彷徨うときの多少の不安と軽い興奮、いや興奮と言うよりはスリル感、物語の舞台装置に紛れ込んだような気分がちょとだけするんですねそんな時は。そんな時間が楽しいんです。自分が仕事でここに来ていることをまったく忘れられる時間です。
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ここ一二年ですか、ロンドン近郊のアンティーク・マーケットで若い中国人をよく見かけます。アンティーク・ディーラーのスタンドの前で携帯片手にずっと動かず何かやっているのです。気になる物があるとその場で写真を撮って(恐らく)中国人のお客にその画像を送って見てもらい、先方がそれを欲しいかどうか確認してから買うらしいのです。それで何時までもそこを離れず写真を撮ったりで忙しくしているのです。僕にはちょっと異様な光景ですが、こっちのディーラーも人によりますが文句も言わず好きにさせている人も結構います。買い手が見つかってから仕入れる。本人たちは賢く振舞っているつもりなのでしょうか。でも、きっとこの手の人たちはそう遠くないうちに消えていなくなるでしょうね。イギリスの年配のディーラーたちも内心そう思って放っているのかも知れません。今から十年以上前、若い日本人のアンティーク・ディーラーが沢山いて、色んなマーケットでよく見掛けました、英語も出来て土地勘もあり、デザインか何か他の仕事を掛け持ちしている、そんな若い子たち。多分思ったよりも儲からず割りに合わないと感じたのでしょうか、みんな消えてしまい今は全く見掛けません。なんの仕事もそうでしょうが、このアンティークの世界も真面目にやればやるほど効率が悪くなりますし、イギリスのアンティークの世界も中々ガードが堅いのです。一見して、どこでも入って行けそうに見えてもそこには見えない壁が幾層にもなって隠れているのです。その壁が見えて来て、それを少しずつ越えていく地道な作業。別に誰が教えてくれると言うわけでもないので、少しずつ自分をイギリス人に同化させていくしかない。卑屈にならずに自分をイギリス的なものに近付けていく。これが時間が掛かる作業なんですが、上手に同化していくと相手もそれを察知して自分への態度が変わって来る。不思議なものです。自分の場合イギリスに毎年二ヶ月くらい来続けて、この同化の作業に15年位掛かったように思います。上手く言えないのですが、イギリス人のように振舞うことと日本人であること、この二つの間の絶妙なバランスのようなものを自分の内に確立することなんです。
さて明日も早いのでもう寝ます。近い内に私の苗字「塩井」がこちらにもある、という話をしたいと思います。では。
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昨日はピカデリーの本屋 Waterstones に行き、真ん中の写真にある本三冊を買いました、左から写真の撮りかたの本で、いい写真を撮りたかったらこれを読め、みたいなタイトルは一見ダサいのですが、本の構成と文章も知的で、作例に使われている写真もいい写真が多くとても良い本。文章は単に写真について語っているようでいて何処か哲学的雰囲気を帯びてもいます。同じ著者のこのシリーズの本は他に二冊あり、それもこの本屋で前に買い求めました。真ん中は、いつもそうなんですが、当て所なく Waterstones の4階にある Photography のコーナーに並べられた沢山の写真集の前を行きつ戻りつしながら、気になった物を棚から引き出しては戻し、その繰り返しをしている時に、目に止まったのがこの、このとても綺麗な写真集。SISTERS とタイトルがあるように、姉妹のポートレート写真集。写真が良いと言うだけでなく、この本も内容構成が良い。とても美しいこのような本は買わないのが無理、ムリ、です。読みたいという気持ちよりも、美しいものを所有したい気持ちですね。右は最近ハヤカワから出ている「津波の霊たち」と言う本の原書、大川小学校の亡くなった子供たちを中心に描かれたノンフィクションですが、著者はイギリス人なので英語でも読みたいと思って購入。この本も原書のデザインのほうがハヤカワの物より遥かに美しい、ちゃんと物としての存在感、重みがあります。
日本の本ももっと美しくならないのかしら、とこんな所で本に囲まれていると、うっとりしながらもふと思うのです。「みすず書房」とか「ふらんす堂」とか美しい本を変わらず出し続けている出版社はありますが全体から見ればとても少ないですね。よく本の帯にある煽情的な文章、あれも醜いですね。それに惑わされて買うベストセラーの新書は大体百ページも行かないうちに読む気も失せて終いには誰かにあげてしまう。私たちは何故紙に印刷された物を読むのか、本を本たらしめているものはなんなのか(あぁ、古臭い言い回し、、)その辺りをもっと考えて欲しい、本を作る人たちは。
この真ん中の本、SISTERS は自分の好きな時にこっそり一人で読みたい、持って回らずに。汚れるでしょ持って回ったら。とても綺麗な本ですから流石の私でも大事にしたい。
と、ここまで書いたらプレタ・マンジェの若い男性店員さんが来て、あと五分で閉店です、と言うことで、サヨナラサヨナラサヨナラ。