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12/13(水)〜12/30(土)の間、岐阜市のステンポルト(STENPORT)さんでフェルメールのアンティークを展示販売させて頂きます。今回は「ハイクオリティで可愛い物」がテーマです。可愛いけれど高品質な小さい物を中心にして、それにちょっと変わった物を取り混ぜて展示させて頂きます。アクセサリー、陶磁器、シルバーのカトラリー、グラス、箱などを中心にちょっと変わった美しい物を選んで並べます。12/13(水)〜15日(金)の三日間はステンポルトさんに居ますので、フェルメールはお休みさせて頂きます。申し訳ありません。フェルメールの展示販売の詳細はSTENPORTさんのホームページでご確認下さい。
月末に帰国して時差ボケが取れる間もなく、先週は用事で東京に行き合間を縫って泉屋博古館に明末清初の水墨画を観てきました。とても素晴らしかったのですが、その中でも石濤の作品が群を抜いていて、彼の大作の前に立ったその瞬間に上半身が鳥肌立ち動けなくなりました。久し振りですね、絵画を観て動けなくなる程の強い感動に襲われたのは。フェルメールの作品でアムステルダムの国立美術館にあるミルクメイドを描いた代表作を最初に眼にした時を、あれは25年も前のことですが、思い出しました。その位の時間を軽く飛び超えてしまうような強い感動でしたね。石濤は1642年生まれで、フェルメールの10年後、ほぼ同時代を生きていますこの二人の天才は。この石濤の水墨画の大作とフェルメールのデルフトの眺望(デン・ハーグにあるあの有名なやつですね)を同時にもし観ることが出来たらどんな感興を覚えるだろうか、と石濤を観ながらふと思ったりしました。
それにしても泉屋博古館の展覧会は通好みのするようなとても渋いもので、国宝、国宝、と軽薄に人を煽る昨今の(国立)美術館の薄っぺらな企画に辟易していた自分にはとても嬉しい内容でした。
企画された美術館の方、そしてイギリスに居る私にわざわざメールで教えてくれたSさん、本当に有難うございました。とても感謝しております。
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先日、アンティークの仕入れにあるフェアーに行くと、時々変わったものを仕入れさせてもらう、最近仲のいいディーラーがいました。60代の女性で品の良い変わったものを扱っています。彼女のテーブルに近寄っていくと、僕の顔を見るなり、マセオ〜(僕の名前ですね、ますお、とは言い難いので、このような呼び方になりますね大体)と言いながら彼女はポケットからペンとメモ用紙を取り出して、速書きで何かを書くとそれを僕に手渡してくれました。それが左の写真、割と似ていて面白いじゃないですか。僕は彼女に断わってそれを貰ってきました。何故に突然彼女が僕の似顔絵を描いたのかは不明です。僕の顔を知っている方はお分かりでしょうが、似ていませんか僕に、、。僕の隣にいた人に彼女は、将来ピカソの絵のように価値が出るかもしれないとかブツブツ言ってましたね。
真ん中の写真はロンドンのサウスケンジントンにあるロイヤルアルバートホールです。アイルランドのシンガー、イメルダ・メイのコンサートがここでありまして、最後のほうでストーンズのロニーウッドがゲストで出て来て、ピョンピョンと跳ねながらなんか弾いてましたね。彼女はジェフ・ベックと一緒にアルバムを出しているので、ちょっと期待してましたが、ジェフ・ベックではなくロニーウッドだったのです。しかし、久しぶりに行きましたが綺麗なホールですね。
右の写真はロンドンの北にある ELTON と言う村です。そこにある古い教会ですね。友人の家に絵を仕入れに行って、その後一緒にパブランチに行き、そのあと何となく散歩に行ったのです。古い古い五百年くらいは経っていそうな木のドアをゆっくりと押すと、施錠されておらず開いたので、写真を撮った次第です。友人は飼い犬の可愛いテリアが用を足すと、それを持参したビニール袋で始末していました。イギリスでは犬の糞を始末せずに置いていき、それが見つかってしまうと1000ポンドの罰金だそうです。
明日は仕入れに行きますがそろそろ帰りの後始末に入らなければなりません。いい仕入れだったどうかは分かりませんが、何となく次回の仕入れが見えてくるような、次に繋がるヒントを貰えたような気がしています。何を仕入れたかももちろん重要ですが、次に繋がる道を見つけることが重要なのです。
ではお元気で。フェルメールは12月の1日午後過ぎから開きます。
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今日はピカデリーの本屋、Waterstonesでのんびりと過ごして、サミュエル・ピープスについて書かれた本を買いました。オランダのフェルメールと同じ時代を生きた人で、彼は何をしたというわけでもないのですが、彼が暗号で書き残した日記でその名を残したという不思議な人です。彼について日本語で書かれた本は沢山はないので買い求めた次第です。
真ん中の写真はオックスフォードサーカスの地下鉄の駅がある交差点です。写真の左側の歩道を向かって手前に、リージェント・ストリートをピカデリー方向に歩いて少し行き右に曲がると、ブランド物を売っている店の中に両替所があります。レートが良いことで有名なので、僕も時々利用していましたが、先日両替に行った時に、どうも最初から狙われていたようで、お金を誤魔化されて、アパートに帰って確認したらお金を何度数えても日本円にして二万円以上足りませんでした。前から変な噂は聞いていましたが、ボーッとしているように見えたのでしょうね。見事やられましたね。お金を失ったこと以上に気分の悪い、後味の悪いものですね、実際に被害に遭ってみると。昔の僕ならすぐに引き返して言い合いの喧嘩をしたと思います。確かにその日は怒っていましたが、こういう旅で重要なことはその日のうちに心を整理して次の日に持ち越さないことです。喧嘩をすればお金だけでなくエネルギーを浪費して、自分のリズムを見失ってしまいます。親しい友人に電話して、別の良い両替所を教えてもらい、次の日は友人には笑って話していました。むしろ、その事件を何かのメッセージとして解釈するようにしています。
肉体の疲労も心のわだかまりも次の日に持ち越さないこと、これが今の僕にはとても重要なことなのです。だから仕入れの旅では少々嫌なことや不愉快な思いをしても後から冷静に考えて、忘れるべきは忘れ、覚えておくべきは心に留めるようにしています。そうそう、人種差別に遭っても、そんなふうに処理しますね最近は。まあそれだけタフになったのかもしれませんが、、。いちいち凹んでいるようでは仕事になりませんから。
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先週の月曜日にイギリスに着いてから約二週間殆ど毎日仕入れで働いていました。移動も激しく、飛行機や電車の時間の都合で朝の三時、四時に起きることもあり、連日沢山の荷物やスーツケースを持っての移動も多く、流石に身体が疲れてきたようです。それと、毎日多量のアンティークを見続けるとちょっと食傷気味になりますね、それで明日は午前中だけ仕事をして午後はカフェでも行ってのんびりと過ごすつもりです。
今週はエジンバラにも行き、その途中ヨーク(York)にも寄りました。ヨークの街で朝撮った写真が左と真ん中で、右はスコットランドとイングランドのボーダーにある街、ベリーク・アプオーン・ツィードです。ロンドンからエジンバラに向かって北海を眺めながら進んで行くと、イングランド側の最後の街がここなのです。何時もながらとても綺麗な眺めです。エジンバラとアムステルダム、この二つは僕の大好きな街ですが、今回は久し振りに両方を訪れることが出来てとても充実した気分です。この二つの街とは相性が良く、それぞれに最初に訪れた時に知り合った友人が居て、有難いことにお食事に招かれたり泊めて頂いたりで、嬉しい限りです。時々しか会いませんが再会すると色んな話に花が咲きあっという間に時間が過ぎます。お食事がとても美味しく、優しい手料理で疲れた身体が本当に癒されるのです。大好きな街で友人宅に招かれて愉しく話しながら美味しい料理をお腹一杯頂く。どちらもとても素敵な古い家で、アムスは17世紀、それこそフェルメールの時代の運河沿いの家、エジンバラは19世紀初頭のジョージアン風の家。アムスの友人は僕のパイプの師匠でもありますが、もう二十年の付き合いになります。
こっちに来るとカフェや駅やレストランで、笑っては話に熱中している人をたくさん見かけます。もちろんこんな時代ですから、タブレット弄っている人も沢山いますよ。でも、観察するに楽しそうに話に興じている人は日本より断然多いと感じます。僕自身も日本より笑うことが多いです。まあ、イギリスでは周りが良く冗談を言うのでそれにつられてこちらもそうなるのでしょうが、、。話して笑う。これって最高の心の薬だと思うのですが。ちなみに僕の住む金沢は、みんな冗談言いませんね。ユーモアに関しては寂しい街です。だから僕はこうやって年に二回こちらに来ているのでしょうか、冗談言いに。
そう言えば先日イギリスのある駅で、ホームでロンドンに戻る電車を待っている時に、電車がどちらから来るのか知りたくて(イギリスでは電車の前方車両が一等、後方が二等に分かれているのでホームで電車を待つ時に進行方向を知る必要があるのです)、若い男の駅員さんに、電車どちらの方向から来ますか、と訊ねると、彼は向こうの方を指差し、あっちから来るよ、と教えてくれたのですが、その数秒後、なんと電車は反対方向から来るではありませんか。彼はその電車を僕に指差して見せて、一言、見ろよ、とだけ言うと、恥ずかしさの余り、彼は右手で自分の目を覆い隠し、その仕草に大笑いしました。駅員さんがホームで電車の進行方向を間違えるなんて日本ではないでしょうね。間違えた若い駅員さん、恥ずかしそうに目を手で覆い隠し下を向いたその仕草がとてもチャーミングでした。それに日本みたいに、お客様間違えて申し訳ありません、という感じにならないのも好きです。あれはただの自己防衛で何処か嘘臭いじゃないですか。それと、逆らえない者に辛くあたってストレス発散をする寂しい人を見るのも嫌ですしね。ここイギリスではそういう乗客はいないことはないですが、はるかに少ないです。何時からそうなったのかは知りませんが、僕はあの日本の「お客様の言うことは基本的に正しい」のでそれには逆らいません、という接客は好きじゃないです。だって、だって、あれは働く側の凄いストレスですよ。そしてその人が今度お客の側になると、お客様を演じる。不健全な循環だと思います。何故か今回は駅の話題が多いですね。では、see you。
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オランダに仕入れに行ってきました。三年振りのオランダでしたが、スキポール空港に着くなり、自分がみるみる元気になっていくのが分かります。初めてオランダの土を踏んでから二十五年、一時期は本当にこの国が好きで好きで年に二回は必ず来ては運河沿いの通りを徘徊していました。今は前のような強い憧れの気持ちは大分失せましたが、それでもこの国の、特にアムステルダムの街の自由度の高さ、センスの良さ、オープンな雰囲気は健在で、パリやロンドンには無い魅力を求めては訪れたくなる場所です。
スキポール空港からアムステルダムに行くのに空港内の駅に行き、電車を待っていました。アムステルダム行きの電車がホームに止まっていたので急いで乗り込もうとすると、もう発車直前で、体の大きな黒人の駅員さんが僕の前に立ちはだかって、まるで相撲取りさんが押し出しでもするような感じで僕の方に迫って来て、ノーモア、ノーモア(no more)と言うのです。仕方なく電車に乗れず、ただ彼のその時の仕草が農場に入ろうとする牛を追い出すような、何処か牧歌的な垢抜けないかんじで、僕は、このおじさん面白いな、と思い、次に来るアムス行きの電車が、11時7分と11分に二本あり、しかも電車の種類が違っていたので、どちらが早く着くのか知りたく、彼の方にまた近づいて行きました。あのー、11時7分のと11分の電車ではどっちが早くアムスに着きますか、と聞くと、彼はホームを忙しく行き交う大勢の人を気にも留めず、何処か仕事を放棄したようなゆっくりとした口調で、11時7分足す70分は何時かな、と訊いてくるので、僕は12時17分ですか、、と返すと今度は、じゃあ11時11分足す25分は何時、と続けて訊いてくるので、僕もそれに答えます。彼は、小学校の教師が生徒を諭すような感じで、さて、どっちが早いかな、、と訊いてきます。大きな駅で突然に算数教室が始まり、体の大きな先生が何故か僕に算数を教えている。彼はもう駅員であることを忘れたかのように悠然と僕に話しています。彼が、11時7分足す70分は11時24分だね、だからこっちの電車だよ、と言ったその瞬間に向かい側のホームに勢いよく電車が到着して、彼はさも自慢げにそれを指差してみせる。僕は、彼の70分が実は17分だったことの驚きと、ホームにいた駅員さんの超然としたその話し方に呆気に取られ、あぁやっぱりオランダは不思議な、実に不思議な国だと納得していたのです。
オランダという国にいると、このように時として説明不可能な面白さに遭遇します。特にアムステルダムでは不可思議な人の風情を垣間見ます。そういう意味で、一度訪れると麻薬のように中毒性のある街です。