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まだ仕入れは始まったばかりで、今日は電車に乗ってイギリス南部に行きました。日本を出発する時が朝の4時起きで、その日はエコノミーの狭い席でほぼ半日座りっぱなしのフライト。イギリスに着いた翌日は2時半に起きて、タクシーで郊外からロンドン中心部の駅に行き、田舎に仕入れに出掛けました。午後3時頃に荷物を沢山持ってロンドンに戻って来る頃には体はフラフラ、頭はボーっとしていて、肩から荷物を幾つも斜め掛けにしながら、両手にも手提げを幾つか持って地下鉄に乗り込んだのです。電車は3時半頃なのに既に混んでいてほぼ満員。荷物を沢山持った僕が乗り込むと何と不思議なことにドア付近の両側の席に座っていた人が二人、サッと立ち上がって僕に席を譲ってくれたのです。僕はまだお年寄りでもないし、妊婦でもない、、ただとても疲れていたのでお礼を言いながら座席に体を落とすように座ってから自分の右手にある物を今更ながら認識したのです。そう、僕の右手に今朝仕入れたばかりのアンティークの杖があったのを思い出し、なるほど。杖を持って電車に乗り込んだものだから、体が不自由な人に間違えられたのですね。確かにロンドンの地下鉄には、歩行が困難な人に席を譲りましょう、と書かれてあります。何故自分に席を譲ってくれたのかを半歩遅れで了解すると、じわっと後ろめたい気分が湧いてきながらも、体はとても疲労していて今更立つ気にはなれず、杖の握り手に付いている値札を何となく掌の中に手繰り寄せて隠し、それが今買ったばかりの仕入れのための杖であることを気付かれないようにしたのです。後ろめたさからくる自意識の過剰ですね。下車するまでの6、7分の間、杖に何となく体重を掛けたりして、杖が僕に必要な道具であるかのようにさり気なく、いや、ワザとらしく振る舞ったのです。体は休まりながらも、終始後ろめたく、何時もよりも一駅を過ぎる時間が長く感じられました。
席を譲ってくれた方、ごめんなさい。
さて、仕入れの旅は始まったばかり。焦らずマイペースを貫きたいと思います。
お元気で。
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11月11日(土)〜22日(水)の間、金沢市柿木畠のギャラリー、MUSEE(ミュゼ)さんで織り物の玉田トシ子さんとビーズワークの石畑美津子さんの二人展が開かれます。二人とも長年の友人でとても素敵な作家さんです。玉田さんは岐阜在住、石畑さんは輪島在住のかたです。お二人の接点を作ったのは僕なのですが、もう随分と昔のことです。二人の作品の個性はかなり違うのですが一緒に展示をやるとしっくりくるのがとても不思議です。玉田さんと石畑さんが揃ってミュゼでされるのは初めてです。きっと素敵な作品が並ぶことと思います。ミュゼの益田さんもとても素敵な、センス抜群の方なのでこのお三人が揃えば素敵な催しにならない訳がありません。これからの冬を彩る物をお探しの方は是非期間中に行かれて下さい。
僕自身は明後日からイギリスで今はその準備に追われています。今日もお店には誰も来ませんが、お陰で準備が捗ります。暇なのが嬉しいような、、そうでないような。本当はこのホームページで書きたいことが色々とあったのですが、お店以外の用事に追われて書けませんでした。
英語の言葉に、セレンディピティ(Serendipity)と言うのがあります。意味は偶然に良い物事に出会える幸運のことを言います。街を歩いていたら偶然に長年探していた物が見つかったり、会いたかった人に思いがけず出会えて物事が好転したり、そのようなことを指して言う言葉です。多分、日本語で一言で言える訳語はないと思います。このセレンディピティ、僕はとても好きな言葉なのですが、何事も便利一番の今の世の中、何でもネットで済ませて、その途中のプロセスが省かれてしまう。クリック、クリックで、はい完了、でしょ。目的地に行くときも Google Map やルート検索のお導きによって迷うこともなく行ける訳です。物を探すときも検索でポン、で次からは検索結果が別の画面にも反映されて、オススメだらけ。
これって便利ですけど異常だと思いませんか。便利さって恐らく人間らしく生きるためには程々のところが良いと思います。少し前にハヤカワ文庫で出ている『フィルター・バブル』と言う本を読んでいました。検索エンジンの個別化(カスタマイズ)によって同じ単語で検索してもみんなそれぞれに違う結果が出て来て、僕たちは極度の視野狭窄に追い込まれていき、自分中心の小さな殻の中に閉じ籠ってしまう。そんな内容のことを細かくかなり専門的に語っている本でした。そこでもセレンディピティに関しての考察があったと思います。まあ、かなりざっくりと申しますと、(今の)ネット依存の世界は僕たちからこのセレンディピティを奪っているのです。検索環境がカスタマイズされると一見自分好みの物に出会えるようで、実は真逆なんですね。物に「出会えて」いるようで、その実しっかりと「誰か」にコントーロール(支配)されている。主体性の喪失ですね。
ぼくが携帯を持ち歩かない、所有しないのはその辺が大きな理由かもしれません。なにせ仕事柄僕にとってセレンディピティはとても重要なことですから、、。
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『そらあるき 17』やっと発売になりました!お待たせしました長い間。申し訳ありません。
今号からページ数が4ページ増えて、富山の山田写真製版所の印刷になり、紙面がとてもクリアになりました。今までよりもずっと読み易くなっていると思います。外部エッセーはノンフィクション作家の梯久美子さん、福井県立大学の木村小夜さん、沖縄の古書・出版社、榕樹書林の武石和実さんです。特集は石川県立美術館、金花糖、石川県の名付けの風習、鈴木大拙、徳田秋声、造り酒屋の福光屋、チェンバロ職人の輪島忠雄さんなどです。今回からは表紙の写真も『そらあるき』メンバーが撮りました。今から全国の取扱店に配布していきます。金沢では21世紀美術館のミュージアム・ショップ、「うつのみや」などがお求めやすいかもしれません。取り扱いの一覧は『そらあるき』ホームページをご覧下さい。
また、新規取り扱いご希望のお店の方は『そらあるき』ホームページからメールを頂くか、フェルメールのホームページの shop data にあるアドレスにメールを頂ければ助かります。
それから、ページ数が増えましたので50円だけ値上げさせて頂きました。なにとぞご理解下さい。
これからも時流に媚びない冊子であり続けるつもりですので、何とぞ宜しくお願い申し上げます。
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11月6日(月)〜11月30日(木)の間、イギリスに仕入れのためお休み致します。申し訳ありません。例年通り秋の仕入れに行って参ります。イギリスを中心にオランダ、スコットランドにも足を伸ばす予定です。
写真は仕入れとは全く関係なく、大分県の宇佐神宮です。夏に九州に帰省したときに行って来ました。
ところで話しは変わりますが、カズオ・イシグロさんがノーベル賞を取りましたね。よく行くカフェに朝行くと、新聞が半分に折って置いてあり、「(イシグ)ロノーベル文学賞」という見出しが見えて、名前の最後の文字「ロ」だけが見えたので、「ハルキ」さんではないなと思い、新聞を広げるとカズオ・イシグロだったと言うわけです。ぼくは彼の作品を殆ど読んだことはないのですが、各社の新聞でここ数日掲載されているインタヴュー等を読みながら彼が受賞して何となくいい気分です。昔英語の教材で彼のインタヴューを読んだことがあり、ノーベル文学賞を貰うことについて聞かれたときに、あれはとても不思議な賞で貰うと書けなくなってしまう、という内容の発言をしていた記憶があります。先日もガルシア・マルケスのインタヴューを読んでいたら、ノーベル文学賞について聞かれたときに彼が、あれを貰ってしまったら酷いことになる(身辺が騒がしくなり)書けなくなる、と言っていました(そのインタヴューのすぐ後に彼は受賞する)。カズオ・イシグロの今回の言葉は誠実さが滲んでいて、好感を持って読みました。ファンの方には申し訳ありませんが、ハルキがノーベル文学賞を受賞して、彼のあんこが入っているようで入っていない饅頭のような発言を(例のごとく)聞かされ日本中がバカ騒ぎをするのだけは僕は見たくないのです。彼のような作家が貰うならば、安部公房、三島由紀夫などのような大作家が貰うべきでしたし、僕の中ではハルキはフェイクなので、どうしても許せない納得がいかないのです。すみません。それと、今回のカズオ・イシグロさんは「日本人」なので恐らく暫くは日本人の文学賞受賞はないような気がします。それよりもチェコの作家ミラン・クンデラが未だノーベル文学賞を貰ってないのを不思議に思うのは僕だけでしょうか。
まあこれを機会にカズオ・イシグロさんの本を読んでみようかと思っております。
お元気で。
追記 私どもで発行している冊子「そらあるき17」、もうすぐ発行です。もう少々お待ち下さい!
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8月のお店の営業日のお知らせです。
8/16(水)は定休日ですが、営業致します。
8/27(日)〜8/31(木)はお休みさせて頂きます。
後は水曜日以外は普通に開けております。
午前中の早い時間に来店されたい方は事前にご連絡下さい。

左の写真は湖水地方をドライブしたときのもの、真ん中はイングランド東部の田舎、右は田舎のお洒落なパブでのランチの写真。何となく掲載してみました。
相変わらずも、R. ブローティガンばかり読んでいます。去年から今年にかけて知った作家で、もう一人、徳田秋声がいます。秋声とブローティガン、時代も国も言語もスタイルも違っていて、一緒に名前を挙げるだけでも不思議な感じ、何処か収まりの悪い感じがするのですが、ぼく自身にとってこの二人との出会いは大きかったです。この二人の書く文章は所謂「優等生」の文章ではありませんが、恐らく文法的にもかなりすれすれのところでとても味、滋味のある文章を紡ぎ出すんです。二人とも未だ過小評価されていると思っています。
そうですね、この二人の共通点を強いてあげれば、社会の弱者に対する眼、ですかね。普通の価値判断で決めつけずに慈しむようにただ観ている。そんな「眼」を持っている二人です。
ブローティガンは翻訳が日本語とフランス語で沢山出ているらしいですが、それも何となく頷けます。彼の影響もあってぼくは今アメリカ北西部に興味があります。オレゴン州のポートランドに行ってみようかと思っています。オレゴン州の州知事はバイセクシャルの女性でカミングアウトされているそうです。どうせ住むならそんなところに住みたいな、と思います。日本は如何なる種類であれ、少数派に対しては中々権利を認めない国、そう言った意味では未だに「後進国」ですから、、。ある国や地域の社会的成熟度は少数派がどれだけ大切にされているかがかなり確かな指標になりますよね。
何時か将来は今とは全く関係のない遠いところで暮らしたいなと思います。何処でもいいのですが、マイノリティが大切にされている街が良い、そんなところで一生を終えられたら良いなと思います。そう考えると日本じゃないんですよね。