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ロンドンに来て数日経ちました。年に二回、数週間の滞在を20年近く続けているとこの街の変化が肌で感じられます。左の写真は僕の好きな街、Gueenswayの通り、いろんな人種が混ざり合っていて、どこか猥雑な庶民の街。ハイストリートを歩くと半年前には多分あった店が何軒も閉店しています。不景気なのに家賃が上がり続けているらしく、通りを歩いていて肌で感じる沈んだ空気、地下鉄の広告も数年前まで見かけたような胸踊る展覧会のものは全く見掛けず、悲しいことに両脇の広告に気を取られることなく淡々と地下道を移動出来ます。地下鉄のエスカレーターの所にいる大道芸人が奏でる音楽に小銭を投げ入れる人も稀で、やたら大きいギターの音だけが空々しく響きます。そう、なんか静かなんです、歪な感じで。歩いててワクワクしないんですよ。社会の不公平感、歪な経済の仕組みが街のあちこちに感じられ、どこか寒々しい気分です。
真ん中の写真はヨークの駅舎、この駅のホームが昔から好きで、いつもここに来ると軽いデジャヴ(既視感)を憶えるのです。理由は分からないのですがね、前世で住んでいたのでしょうかねぇ。右はリージェントストリート、黒とピンクの旗が綺麗ですね。イギリスらしい洗練されたデザインを見ると歩いていて少しだけ気分が上がるのですが、中々今のロンドンでは「下げ因子」のほうが多くて困ります。
でもご心配なく。仕入れの方は順調で、下がる気分はそこまで侵入して来ず、楽しく仕入れております。
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イングランド東部、Norforkの田舎町を車で回って来ました。Norwichまで電車で行き、そこでレンタカーを借り、森を縫うように走っては時々小さな村を散策してアンティークも拾ってきました。半分は観光気分のドライブだったので、まあ何か面白いものが見つかれば「オマケ」くらいの気持ちだったので、得した気分です。左の写真のブルーの窓枠のお店はたまたま見つけた小さな町にあった古本屋さんです。間口は広くなかったのですが、本棚が向きを変えてうねる様にしてどんどんと奥の部屋に続いていました。二階には専門書が沢山あり、こうやってイギリスの田舎の古本屋の二階に一人居て、静かな雰囲気の中古い画集に囲まれていると幸せな気持ちに浸れます。「時間が止まる」とはこのことです。
品の良いイギリス人の女性の方が店員をされていたので、少し話すと20年ほど前に彼女は外資系の銀行に勤めていて、その仕事で二年ほど日本に住んでいたらしく、何処に住んでいたんですか、と尋ねると何と、東京のホテルオークラに二年間住んでいたとの答え。
イギリス人は日本人よりも潔いところがあるようで、過去のキャリアをさっと捨てて、お金よりも生活の質を優先する人が日本よりも多いと思います。この古本屋の女性がその例に当たるかは知りませんが、オークラに二年も泊まって金融の仕事をしていた人が、今僕が買った一枚数十円のポストカードの値段を丁寧に足し算する姿を見ていて、それが楽しそうでこちらまで良い気分になります。また最近仲良くなったディーラーも五年前まで弁護士をしていたけど多忙な生活に疲れ、奥さんと話し合って今はマイペースでアンティークの仕事をしています。アンティークの市で元弁護士なんて微塵も感じさせずに普通に笑顔で気さくに接客している姿はとても素敵です。先ほどの古本屋の女性にしても、このディーラーにしても、なんと言うか気負いがない、元弁護士だろうが元バンカーだろうが自分の今したいことは「これ」なのよ、そんな自然さですね。見てて気持ちの良いものです。