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週末にエジンバラに行って来ました。一応アンティークの買い付けが目的ですが、一年に一回はエジンバラの土を踏まないと気が済まないのです。エジンバラに向かう電車の中でエジンバラが近づいて来ると、あぁ、帰ってきたなぁ、としみじみ思うのです、自分の身体の深い部分がこの街との再会を喜んでいてそれが内から込み上げて来る、そんな感じです。夕闇の街を石畳みをガツガツ音をたてて歩きながら全身でエジンバラの気を吸い込み、エネルギーを補充している、自分の中にその気が充填されていくのがほんとに分かるのです。もしエジンバラが女性ならば、こんな感じになるのは君だけだよ、と囁きたいくらいです。後、人も優しくて野性味があり、魅力的な人が多いです。アムステルダムやロンドンのように洗練され過ぎていず、ちょっと粗削りな感じがとても人間らしいのです。友人宅で夕食をご馳走になった時に、エジンバラの人口の話になり、金沢の人口とエジンバラの人口はなんと、ほぼ同じでした。共に50万弱ですね、この位がヒューマン・サイズとでも言いましょうか、人の顔が未だ見えるサイズですね、これ以上大きくなると、良くも悪くも「都会」という感じです。50万都市は未だ「街」ですね。
エジンバラからロンドンに戻る列車が思いも寄らぬルートを通り、途中カーライル(Carlisle) という湖水地方の北にある駅で停まったので降りてみました(右写真)。広くて暗いプラットホームに若い女性駅員がアナウンスする艶のある声がゆっくりと低い声で響き渡り、ただ停車駅を一つひとつ歌うように読み上げているだけなのに抑揚と間の取り方の変化が美しく、聴く側に語り掛けて来る様で、僕は感心しながら聴き惚れていました。イギリスの鉄道はよく遅れるしいい加減ですが、この女性のアナウンスの声に見るように画一化と非人間性を何処か拒んでいるところがあり、それがイギリスでの鉄道の旅の魅力かもしれません。駅舎も日本の様に、どこに行っても一緒、ではなく個性があり、駅員は何時も適度にやる気が無いというか、仕事の単調さを冗談を言ったりして紛らわしている奴がいたりして、それもまた愛嬌です。

(追記とお知らせ)
来年一月の八日(金)に岐阜市のpandさんでトークショーをさせて頂く事になりました。前回(「誘なうディテール」)の続編ですが、今回のタイトルは「水平と垂直」です。
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古いもの、アンティークのものが年々隅っこに追いやられ、デジタルなものが席巻するこの世の中でどうやってアンティークを探すのか、これは(僕にとっては)大きな問題です。このイギリスで何処に行けば珍しくて高品質なアンティークは眠っているのか、そしてどうやったらそれらに「出逢える」のか。昔から良く「脚で稼ぐ」と言います、この言葉の本当の意味を僕は知りませんが、脚でイギリスじゅうを動き回り稼いでいくしか無さそうです。非常に原始的な方法です。勘と脚と体力とそして運です。今ネットのオークションと言うのもありますが、僕は思うのですいつも。百年、二百年、三百年前の人が劣悪な環境で眼や肺や手足を酷使しながら苦労して作り上げたものを、快適な部屋に居てワンクリックで我が物とするのは、それを作った人と物に対する敬意を欠いている、と。きっとこの僕の考えは時代遅れで頑ななものであるかもしれません。でもやはり僕は、もの探しの基本と愉しさは身体を使って探すことにあると思うのです。ものに出逢うことだけで無くそのプロセス(経緯)も大切だと思うのです。
写真はロンドンから南東に電車で一時間余りの小さな町、Headcorn に行ってロンドンに戻る電車に乗るときに撮ったものです。時間は夕方の5時、月が出ていて綺麗でした。
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昨日まで二泊でDerbyのほうに行ってました。イギリス人でアンティーク・ディーラーの友人と二人で車に乗ってオークション・ハウスに行ったり、アンティーク・センターに行ったり。この写真は友人がアンティーク・センターに用事で行っている間に僕は車の中でイングランド中部の典型的な何と言うこともない眺め、ヴィクトリア時代の赤レンガの壁、何処にでもあるような教会、青い空をボーッと眺めて、10年程前の自分を思い出していました。まだイギリスの空気に今ほど溶け込めず、何処を歩いても足が多少上擦って浮いているような感覚、ここにこうやってディーラーとしていることが「普通」に感じられなかった頃を懐かしんでいました。何ということのない眺めだからこそ色々と昔を思い出すということもあるようです。友人が戻ってくると彼の奥さんが作ってくれたサンドを二人車の中で頬張りながら駐車場の赤レンガの壁を見るとはなく見て、四方山話をする。これも僕のイギリスでの愉しみの一つです。