Img_ce53479fe424e6609d8024c46f4ec6a6
Img_3942228a3e938212c8404557b013ea14
Img_48a6fecad8de2499186ab96406101419
こちらに来て早十日が過ぎました、田舎に行ったりロンドンに戻ったりで中々このページを更新する時間が取れず、やっと今書いてる次第です。それでも暇をみてしっかり遊んでもいます。昨日は Wigmore Hall でクラシックのコンサートに行きました。タカーチ四重奏団がドボルザークをやると言うので行きましたが、演奏は大変素晴らしく、じっと聴き入っているとおへその辺りから上に向かって身体がジーンと来て、その感動の痺れが微かな涙に変わる、その位素晴らしい演奏でした。実はタカーチ四重奏団の演奏はアイルランドに住んでいた25年程前に一度聴いていています。若い頃よりも今の方が音楽を聴く愉しみを分かっている様な気もしますし、四半世紀ぶりに同じカルテット聴くと言うのもいいものです。Wigmore Hall はご存知かも知れませんがイギリスではとても伝統のある古いホールで、ハーフタイムにはホールの通路でアイスクリームを売っていますが、それを年配のイギリスのジェントルマンが通路に立ったままカップとスプーンで静かに下を向いてアイスを食べている光景は見てて微笑ましいものです。僕も彼らに混じって赤い絨毯の上で食べましたが、買う時に聞くとアイスとシャーベットで種類は11もありました。僕はチョコミントにしましたが、よく物をこぼすたちなので絨毯の上にアイスを溢したらカッコ悪いな、もし溢したら、ソーリー溢してしまいました、なんて近くのホール係りの人に言うのかしら、それとも赤い絨毯の上に溢れたアイスの欠片を指で掬うことは出来るだろうか、この歴史あるホールの絨毯に僕の溢したアイスがもし染み込んでいったら・・・、なんてアホなことを考えながら食べてました。
右の写真はスピタルフィールドの通りで、夕方仕事帰りの若者がパブの外でビールを飲みながら雑談しているところ。スピタルフィールドの裏通りにある倉庫の様な古着屋でロックを聴きながらカゴの中にある互いに絡み合ったスカーフの塊をひっくり返しながら選ぶのも楽しいですね。その後、さらに奥の方へ進んでブリックレーンの方へ行くと、通りが荒れた感じの雰囲気になって来ます。真ん中の写真にある様に労働者階級の日々の生活に疲れた人々の姿が見え始め、先程のパブの表で若者が歓談する辺りから歩いて10分も離れていないのに、大きな落差と隔たりを感じます。今から100年ほど前作家のジャック・ロンドンが乞食に身をやつして潜入し、最下層の人々の苦労尽くめの生活を彼らと同じ暮らしを試みながら、ルポルタージュしたのも確かこの辺りです。
左の写真は二階建てバスから見た夕刻のオックスフォードサーカスです。
また数日以内にこの項でお会いしましょう。
See you soon!
Img_fdf037fa28e75f29cc41fcceabc7bb9d
Img_67e123cf1fca37915764e1aeb439d9d2
Img_9e64bad55ff7d645f166a19a239d46a8
昨日(5/18)はロンドンのジェフリー・ミュージアムに行きました。ここ十年近く気になっていて行こう行こうと思いながら果たせないでいた場所で、ホーニマン博物館に行った帰りに地下鉄(正確にはundergroundではなくovergroundに乗りました)で乗り換えなしで行けたので、Hoxtonの駅で降り、歩いてすぐのところにあり、楽しんできました。外観は左の写真にある様に、一見したところ博物館には見えませんが、ここでは1600年代から現代まで約400年に渡るイギリス中産階級の暮らし振りを彼らの居住空間を忠実に再現することで見られる様になっています。真ん中の写真は1830年頃実際に存在した部屋を再現したもので、今から400年ほど前に中産階級(ミドルクラス)が恐らく世界で初めて出現し、その変遷や、趣味嗜好、生活のスタイル、マナーなどが、建物に沿って部屋を時代順に眺めていくと分かる様に親切に展示されています。右の写真はその途中にある休息の小部屋で、裏にあるガーデンのお花を眺めてのんびりすることも出来、館内にあるカフェも素敵で、何故もっと早くここに足を運ばなかったのだろう、と思うことしきりでした。後、ミュージアム・ショップに行くと、ここで15年ほど前に催されたイギリスのカトラリーの展覧会のカタログが売っていて、買い求めました。アンティーク・カトラリーに関する本で良いものは以外と少なくて、この様に過去の展覧会のカタログに素晴らしいものがあることが多いのです。前に扱ったことのある18世紀後半の緑色の象牙のハンドルのナイフとよく似たものもそこに載っておりました。
こうやってアンティークの仕入れをせずに美術館や博物館に古い物を眺めに行くのも大事です、が以外とアンティークを仕事にすると物を仕入れることにかまけて商売抜きで古い物をじっくり眺めることが少なくなりがちです。美術館や博物館ではもちろん物に触ったりは出来ませんが、仕事を忘れて仕入れになんか殆ど関係ない古い物を見て回るのも良いです。それと、今日行った博物館の様に古い物が実際どの様に使われていたかを知るのはとても重要です。例えば、18世紀のミドルクラスの家ではロウソクの灯りだけでは夜はとても暗かったので、食事などに使用するピューター(錫と鉛の合金)の皿はロウソクの灯りを反射させる働きもあったらしいです。LEDとブルーライトが氾濫する私たちの生活の中では想像するのも難しいですが・・。それと1700年頃の状態の良い鏡が展示されていて、覗き込んで自分の顔を映すと以外とハッキリと映り驚きでした。同時代の江戸期の鏡と較べると大違いでした。
そろそろ、また仕入れモードに戻りたいと思います。
ではまた、hopefully see you soon here!

Img_e2cdedcf7128315b598ec10b5f832cc7
Img_9c312daeadf31a28188f7b13763e06a0
Img_ad5c0399a3464a8a4e213616d5a59dfb
先日の夕方食材を買いにQueenswayの大通りを歩きながらMarks&Spencerに向かっていましたが、歩くのが億劫でその手前にあるTescoに入りました。イギリスのスーパーは高級な方から、Waitrose、Marks&Spencer、Sainsbury、Tesco、だと自分では思い込んでいるのですが、最近はもっぱらM&Sに行くことが多く、チョコや紅茶やチーズなどを買う時にだけWaitroseを利用していて(嗜好品はやはりWaitroseですね)、Tescoに行くことは稀で久し振りに入ってみると以外と自社ブランドの食品が充実しており、一昔前のTescoより進化している様です。食品コーナーをうろうろしていると、な、何と、日清の「出前一丁」があるではないですか、しかも五種類も!シーフード味、豚骨味、・・・ロンドンのラーメンブームがこんな所にまで影響を及ぼしているのでしょうか、思わず興奮気味に、シーフードと豚骨を買ってしまいました。そして早速作ってみたのが真ん中の写真、シーフード風味なのに具はベーコンとネギ、それだけでは体に悪そうなのでフルーツトマトも横に添えました。出前一丁が、delivery ramen ではなく、Demae Ramen と書かれてあるのがちょっと面白いです。
日本食はロンドンですっかり日常的な物になりましたが、それに反して街中で日本人を見かけることは少なくなりました。今やこの街では、アジア人=中国人、と言っていいくらいチャイニーズばかりです。僕もよく中国人に間違えられますし、香港系にも間違えられます。僕自身もひねくれ者なので、近くに日本人が居ると、日本人じゃない振りをしたりする悪い癖があります。それより笑えるのは、僕は小柄で髪が長いので、スーパーや店でよく店員さんに、Yes, madam, how can I help you? なんて言われる事、Sorry, I'm actually a man. なんて言うのも変だし、そんな時は何時もニヤニヤしています。
Img_9cde57da314d14682c657ca476d21b88
Img_ce4f73e8b2d451745c38b81367a755d8
Img_0dfa5f3f7de06f622ea9668556bafb1c
今回はNotting Hill の辺りを良く歩いています。僕が滞在しているのは地下鉄で隣の駅の Queensway なので徒歩で10分程で Notting Hill に行けます。僕の好きなカフェチェーン、Caffe Nero や和食のチェーン店 Itsu 、高級スーパー Waitrose 、本屋の Waterstones などが地下鉄の駅から歩いて一分以内の範囲にあり、この四つをはしごすべくついつい Notting Hill に出向いてしまいます。でも、理由はそれだけで無く、ロンドンのど真ん中の繁華街と違って Notting Hill は人の混み具合、建物の大きさ、お洒落な感じが適度で、posh(高級で気取った感じ) でも無く、かと言って庶民的な感じでも無く、歩いている人も雑多でヴァラエティに富んでいる中にもスタイルがあり、かと言ってツンツンしたいかにもブリティッシュというのでも無く、どこか街の雰囲気に優しさが感じられ、その微妙なバランスが魅力なのです。ロンドン周辺で耳にするイギリス英語のアクセントにも、綺麗なミドルクラスのアクセントでありながら、気取り過ぎず、何処と無くフレンドリーで親しみ易い中に品があり、思わずそのままコピーして我がものとしたくなるようなものがあります。それにちょっと似てますかね。
先日も夕方 Notting Hill の本屋で本を物色していると、近くの路上でアフリカの太鼓を鳴らしながら低い声で唸るように歌う黒人の歌声が聞こえて来ます。行きがけに彼の前を通ったのですが素通りしたので帰りがけは小銭でも投げ入れて行こうと思いながら欲しい本が中々決まらず、うじうじと色んな本に手を掛けていると、ふと見ると右の少し離れたところで腰の折れ曲がった老女が真っ赤なコートを着て熱心に本を手に取り見ています。余りに腰が曲がっているので本を持ったままただ床を眺めているようにも見えますが、その間もアフリカ太鼓の音はその真っ赤なコートに重なって聞こえて来ます。結局その日は何も買わずに店を後にしましたが、ガラスのドアを開けて出て行くときに左にガラス越しに真っ赤なコートが傾いた案山子のように立っているのが見え、もう太鼓の音は止んでいました。通りすがる人の洋服の着こなし振る舞いに哀愁とスタイルが感じられる、それは Piccadilly や Covent Garden 、South Kensington などの何処か攻撃性を帯びた気取った感じとは随分違います。
真ん中の写真は Notting Hill の映画館、両端はその雑踏風景です。右の写真の左のほうに小さいおじさんがアコーディオンを弾いているのが見えます。身長150センチくらいで、タンゴを演奏しながら頭をペコペコさせていて、リズムを取っているのか頭を下げているのかは不明、小銭を投げ入れるときにちらと顔を覗き込むと一見可愛い感じを裏切るように鋭く世擦れした目つきでした。Notting Hill 、中々深いです。
Img_3759469919f7c5863f02b40526a149fc
Img_10bd633cd63a5756c9167c86ca4473b8
Img_ae5b8682e3775dda21c331e9e315fa3b
今ヒースロー空港でこの文を書いています。チェックインが終わり保安検査まで多少時間があるのでその間に駄文を綴ろうと思います。この前の最後の日曜日はV&A(ヴィクトリア&アルバート美術館)に行きました。ここにある Photography Room が好きで時間がある時は訪れる様にしています、何時もは一階の右奥の部屋にあるのですが、今回は何故か上のほうのフロアに移動していました。ここで19世紀の写真を始め、古い写真に囲まれていると、言い様のない不思議な満足感に浸れるのです。写真も絵画と一緒でオリジナルで見るのが肝心だと分かる様になったのもここの部屋のお陰です。昔写真集で見慣れた写真でもオリジナルに改めて接すると、自分の見ていたものが「写し」に過ぎなかったことが良く分かります。5年ほど前でしょうか、ナダールによるあの有名なボードレールのポートレートを初めてここで見て、その魅力に眼が釘付けになったのを覚えています。今でもなぜ自分が古いポートレートや昔の写真に魅かれるのかさっぱり分かりません、でも写真を見ることをやめられないのです。今回も自分の知らなかった素晴らしい写真家と出会うことが出来ました、収穫ですね。
今回のスーツケースの中にもロンドンで買った重い写真集が入っています。重いけど買うのをやめられないのです。もっと見たい、もっと買いたい、もっと深く知りたい、そんな貪欲さを失ったら僕の仕事は終わりだと思っています。どんなにスーツケースが重くなろうが、どんなに借金が増えようが止められない、病気じゃないけど、何だろう、依存症、・・・でもないし、好奇心が強いのか、上手く表現出来ないけど、終わりの見えない世界はやはり魅力的です。そう言えば今回は古い絵とエッチングの良いのを何枚か買いました。一番大きいのはスーツケースに入っています、1741年のエッチングです。さて、もう保安検査に行かなければ・・・。
では、また。27日間の旅、楽しかったです、仕入れは相変わらず難しいですが。