Img_2ec7de8ecb25e9213aa8e83532e520bf
Img_d85ddacd1b32c8e720b73d3fb985ac2e
Img_cd6d80a106107b045515fa97410913f3
イギリスで仕入れ中です。昨日(5/9)は時々行く大きな市に仕入れに行きました。前にも買ったことのある60代の夫婦から色々と買い、計算をしてもらったりしていました。テーブルの上に並ぶきれいに磨かれた道具類のさり気ないセンスの良さからは、彼らが好きでこの仕事をやっているのが手に取るように伝わって来ます。細身の旦那のほうはシャイなのか口数は少ないけれど、とても優しそうな人で、それを補うようにか奥さんのほうは、ふっくらした小柄で、しっかりした雰囲気です。僕が買ったものには値段が付いていない物もあり、割と珍しいある物の値段を僕が聞くと、あまりにも安い値段なので、流石に間違えているんじゃないかと思い、(もっと上げていいですよ、と心の中で思いながら)『本当ですか(Are you sure?)』と聞き返すと、流石に奥さんもちょっとビックリしてて、旦那の顔を見詰めています。彼は少し下を向いて小声でさっきの倍の値段を言いますが、それでも十分安い値段なのです。ちょうど僕が払ったお金を数えている時でしたか、僕たちの斜め後ろにあったガラスケースを若い男が勝手に開けて、中にある金の指輪などを触っていました。男は奥さんのほうを向いて、指輪の値段を聞いています。その時奥さんがガラスケースの中の指輪が一つ消えていることに気付きます。大きな声で、『青の指輪が無いわ、今さっきまであったのよ』、と言っている隙にその男はケースをそっと閉めて何事も無いようにゆっくり歩いて行きます。夫婦はその男の背中を睨みつけますが、何せ現場を見ていないのでどうすることも出来ません。奥さんが旦那に、(金の)青い指輪よ、と言うと、旦那が、あのルビーのか、と返します。『ルビーは赤でしょ』、と奥さん。これじゃ、犯人が捕まるどころじゃありません。二人とも為すすべなく、残念そうな諦め顔で、僕の物を包んだりする作業に戻りました。
この旦那のような、古い物が本当に好きだけれど、世渡りが下手で、優しい人ってたまに居るんですよね。苦労しながらもそんな優しい旦那が好きで、頑張って支えている奥さん。
今度はちょっとしたお土産でも持って行こうと思います。
(左の写真から、地下鉄のエスカレーターを降りた所、地下鉄のシート、右の写真はHolbornの近くのRed Lion Street)

Img_4afb1b6754ba58d064ff93f8a51ef03e
Img_ce5cb04f2a1d55d79ea5c133c75e9193
Img_fa99e6fb77c0fb5a36652e402213c680
先週湖水地方に行き、レンタカーを借りてドライブして来ました。20年以上イギリスに来ているのに、湖水地方には今まで行ったことがなく、何となく憧れの場所でした。ロンドンから電車でイングランド北西部にあるカーライル(Carlisle)まで行き、そこで車を借りて、南の湖水地方を一泊二日で走り回りました。ウィンダミア(Windermere)にあるホテルに泊まりました。特に値段の高いところではありませんでしたが、朝食の美味しかったこと。中々洗練された感じで(真ん中の写真)、一昔前のイギリスではこの様な朝食は殆ど見かけませんでした。このお皿の料理が出てくる前に、宿の奥さんが小さなクロワッサンを持って来てくれて、それを軽く一口食べてポットの紅茶を口に含んだ時の美味しかったこと。もう何もいらない、とその瞬間思いました。紅茶は部屋に常備されていたのがTaylorsの物だったので、この紅茶も同じかなと思って聞いたら、何と帰って来た答えは、Twiningsでした。普通の答えにちょっとがっかりしながらも、なんでこんなに美味しいの、しかもティーバッグなのに。やはり湖水地方は水やバターが美味しくてこんなにまでもクロワッサンと紅茶だけで幸せを感じられるのだろうか、と思うしかなく、今でも思い返すだけで幸せな気分に多少浸れるくらいに美味しかったのです。実はこのホテルにチェックインした時に部屋のテーブルの上にチョコレートケーキがお皿にラップされて置いてあり、それをさほど期待もせずに食べたら、甘さが控えめで結構美味しくて、しかも紅茶は僕の好きなTaylorsで種類も、ミント、アールグレー、ジャスミン、ルーバーブ(ルーバーブティーですよ!気が利いてます)と洗練されてかつ豊富だったので、これは朝食が期待出来るかも、と密かに思ったのです。その予感は裏切られることなく、とてもとても美味しい朝食でした。あのクロワッサンと紅茶の味を求めてもう一度このホテルに泊まるのも良いかなと思っています。そのくらい美味しかったんです。
今回のドライブで湖水地方には有史以前のストーンサークル(ストーンヘンジみたいなやつです)が幾つも有るのが分かったので、次回はストーンサークルを巡る旅にしたいと思います。美味しいクロワッサンと紅茶にストーンサークル、全く関係のない組み合わせですが、このあたりを楽しみにしてまた訪れたいと思います。あっ、言い忘れましたが、景色は最高でした、クロワッサンと紅茶に負けないくらい綺麗でした。
(余談) 真ん中の写真にある料理が出された時に、40歳くらいの宿の主人がソースを持ってやって来て、どれにしますか、と言われたので、ケチャップでと答えると、どこに掛けますかと今度は聞いてくるので、何となく、上に(on top)、と答えると、主人は、えっ、そんなところに掛けていいんですか、と言う反応で、僕のきれいな盛り付けが台無しですよ、と言いたげにも聞こえ、彼が僕に(スクランブルエッグの)横にしますか(to the side?)と優しく言ってきたので、あわてて僕は、イエス、イエス、と答えるのが精一杯でした。確かにエッグの真上にケチャップがベチョっと掛かっているのはいただけませんよね。彼の言い方もさり気なく優しくて、田舎者の東洋人、ホント困るよ、と言うのではありませんでした。
Img_68b796a5c26bd41c9c203971bd92ea25
Img_5e407878e3184056deb3d8e1bc155854
Img_bb4116828fbe7648893372f528c7819b
こんにちは、仕入れの旅も三週目に入ろうとしています。そんなに疲れが溜まっている自覚はないのですが、地下鉄の通路などを歩いていても何処か体に力が入りません。知り合いのアンティーク・ディーラーにお金を払う時にお札を数え間違えたりして、ちょっとぼーっとしてますかね。まあでもそれなりに仕入れは進んでおります。
何時もそうなんですが、頭が英語になれるのに大体二週間かかります。友達の家に行って英語で喋っているときに、ふと日本にいる誰かに頭の中で話し掛けようとしたら、英語で話し掛けている、そんな状態まで頭が来るのに二週間。頭が英語に順応するのに無理しているんでしょうね、大体その頃に一度はとても眠たい日がやって来ます。友達の車に乗ったりしている時にとても眠くなるのです。友達が、時差があるから辛いよね、とか言って気を遣ってくれるのですが、英語に慣れるのに頭が疲れて眠くなるのよ、とは僕は言いません。やせ我慢ですね。それと、英語をそこそこ喋れると、中途半端なネイティブ扱いになり、僕が英語を喋ることで疲れるなんて想像もしてくれないのです。夕食に招かれ、8人くらいで話していても(一番難しい人数ですね)、みんな僕の英語のレベルに気を遣ってくれないのです、こちらとしては嬉しいような辛いような、でもころころと変化する話題の中で何か言って、しかも出来れば笑いの一個でも取らないと次は食事にも呼ばれないぞ、と思いながら食事をするわけです。下のリーグから上がってきたサッカー選手がいきなり出た試合でフォアードに起用されて、ここでシュートを打たなきゃ次はないぞと焦ってる感じです。それでも頑張って進行中の話題を摑みこちらに引き寄せ、そこから笑いを取れたときは嬉しいというか、最低限の役目は果たしたぞ、とホッとするのです。とにかくあの日あの時の夕食会に自分が居たという印象を残して終わること、これが重要です。招かれてそこに居たのに印象が薄く、周りのみんなが自分が居たのか居なかったのかも覚えていない、それはまずいのです。とにかく、人の家に呼ばれたら、シュートを打って帰る。昔アイルランドに住んでいたときに学んだことです。
上の写真の説明は次回に致します。
眠いです。
Sorry for being lazy.
Img_0cc8173e7c2a40aeedf92ab38098b353
Img_e483bc5489f3d52eb14a3628f8fca9cf
Img_4711c52b624aa2da48f2679370c31012
皆さん知ってのとおり、イギリスはユーモア大国。この国でユーモアのセンスが全く無いのは結構なマイナスです。僕の親しいアンティーク・ディーラー(日本人)と話していたのですが、イギリス人に、自分の居ないところで、あいつは退屈(boring)だ、と自分のことを言われるくらいなら、悪い奴だ、とか言われたほうが未だましだよね、と僕等二人の意見は一致したのです。確かに、退屈と言われたら屈辱ですね。
今滞在しているアパートと言うか宿は大きなビルの中にあり、一階に管理人の男性が交替で居るんですね。その中に面白い人が一人居て、二週間くらい前にビルのエレベーターが壊れて使えなくなり、仕方なく荷物専用の小さくて古いエレベーターを使っていたんです。昔のフランス映画に出て来るようなドアの前に鉄のジャバラが付いているようなやつです。みんなそれで我慢していたのですが、ある日帰って来ると、そのおじさんが、多少申し訳なさそうに、実はもう一個のエレベーターも壊れてしまって、今日から非常階段を使ってもらうよ。コメディみたいだけど、仕方がない、僕に出来るのは謝ることだけ、ゴメンね、と言うのです。もう笑うしかないでしょ。怒ってもしょうがない。それから待てどもエレベーターは二つとも直らないし、誰かが来て直してる気配も余りありません。しばらくの間は非常階段を登り降りしてました。でも、やっと数日前に古いほうだけ直って、もう一つも修理のめどが立ち、そのおじさんに僕が、いっぱい苦情が来たでしょ、と訊くと、彼は、苦情が沢山来過ぎて、自分はストレスで明日精神科医に行って来るよ、と言うのです。また二人で大笑い。そして昨日、晴れて新しいエレベーターも直り、おじさんに今日の朝会うと、エレベーターも無事直り、僕の精神科医の問題も解決して、後は(もう壊れないよう)幸運を祈ってるよ、と言った後、両手の人差し指と中指をクロスさせてニッコリ。
これが日本だとひたすらに謝り、お客側はただ苦情を言う、と言うことになりがちです。ユーモアがないんですよね。よく困らせている側の人が冗談でも言おうものなら、即、不謹慎だ、とか言われるでしょう。違うと思います。
そう言えば昨日も田舎に行って、ロンドンに電車に戻ろうとしたら、信号機の不具合で電車が大幅に遅れていて、取り敢えずホームに止まっていたロンドン行きの各駅停車に近い遅い電車に乗ったんです。そしてドアが閉まる直前に車内アナウンスがあり、この電車は遅れを取り戻すために、予定していた駅には何処にも止まらず、ロンドンのキングズ・クロス直行となります、とのこと。早く帰りたかった友人と僕は、そのアナウンスに喜んだのですが、同時にびっくり。二人で、いい加減だねぇ、と笑ってしまいました。
真ん中の写真は、Ely と言う小さな町。両端は路上で営業する散髪屋さん、かしら。ホームレスの人がやっている散髪屋さんなのか、ある種のパフォーマンスなのか、分かりません。
Img_b099cf8c46ed2cac5818afce38acaa35
Img_09f846bf73c25807cf1845a862978b0f
Img_7e3857cae7d5e1982d958478170f91fc
今、仕入れで買った物をパッキングしているところです、今回も古本をついつい買ってしまい、おかげでスーツケースが重くなりますね。真ん中の写真も今回買った古本、右上から時計回りに、アメリカの詩人と写真家の詩と写真が左右に載っている本、イギリス17世紀〜19世紀の水彩画の画集、スペイン・バスク地方の先史時代の壁画や古代遺跡の本、最後はケンブリッジ大学出版の19世紀前半のエンボス加工された製本に関する研究書です。持って帰って読むかどうかは置いといて、この四冊それぞれに気に入っています。古代遺跡の本はカバーの内側に著者の写真が載っていて、真っ黒のサングラスをかけたニヒルな初老の男が写っています。どことなく、誰も見向きもしないようなお金にもならないことを地味に続けている癖アリの研究者風で、親しみを感じます。エンボスの本は、エンボス加工をするために男が二人で大きな車輪を紐で引っ張って本の表面にプレスを掛けている、当時の図版などが載っていて、中々マニアックな本です。
イギリスの昔の水彩画家にも興味があり、もっと知りたいと思っています。今回も大英博物館でイギリスの昔の水彩画家の展覧会がやっていたので観に行きました。僕が全く知らない水彩画家で素晴らしい絵を描いている人は、こうやって画集を買ったり、展覧会に行ったりするとポツポツといるもので、いかに自分が無知なのかを思い知るのです。また別の日に、田舎で Thomas Churchyard と言う名の18世紀末生まれのイギリスの水彩画家の専門書を買いました。全く知りませんでしたが、中々の画家で、今まで知らなかったのが不思議なくらいです。ただ彼の絵はこの本を見る限りでは殆どがプライベート・コレクションみたいです。
後は画集ではありませんがリチャード・ブローティガンの本を数冊買いました。彼の短編の素晴らしいこと、独特の文章ですね。多分僕が彼を今まで読まなかったのは、日本でもヴィレッジ・ヴァンガードなどに行くと70年代のヒッピー文化の象徴みたいな感じで紹介されているので、何となく避けていましたが、英語で読んでみると、もっと深い作家である、つまりヒッピー文化的解釈は彼の作品の浅薄な理解でしか無いということ、がよく分かります。実際、僕が買った本の内一冊の前書きにはそのような事が書いてありました。最後に写真集も一つ買いました。Anders Petersen、スエーデンの写真家らしいです。Thames&Hudson から出ている著名写真家のシリーズの写真集なので、多分有名なのでしょう。知りませんでした今まで。退廃的で毒がある美しい写真です。いやきっと、美しい、なんて言ってはいけないのでしょう。
もう直ぐで買い付けも終わりです。カフェネロ(Caffe Nero) によく行きましたね、本とノートを持って。おかげでスタンプが大分たまり二杯くらいはタダで飲めます次回は。カフェネロにコーヒー飲みにイギリスに来てるの、と言うくらいよく行きましたね。まあ、それも良いんですよ、大きく見れば仕入れのうち、と勝手な解釈。滞在中に、「大拙と幾多郎」(森清 著、岩波現代文庫)を読み終えました。感動的な本でネロで泣いてしまいました読了した時に。
ではみなさんお元気で、次回は日本から。
アパートの本とゴミまみれのベッドの上にて・・。