Img_b11e40d6af40ed7966424e6561523595
Img_f0577c498977ed8a0308d5bf0bd0f829
Img_3117fc7bc42532f496578066bc12c9db
1920~40年頃のイギリスの銀巻きのパイプ(長さ13,3センチ、高さ3,8センチ)です。ブランド名は無いので無名のパイプですが、この時代は無名でもクオリティの高いパイプが沢山あります。良いパイプを作る小さな工房がまだまだ沢山あった時代です。'Sterling Silver' (銀製)と刻印されているのである一定以上のクオリティは保証されていますが、ブライヤーの木目の雰囲気を見れば良いパイプであることは分かります。もう一つこのパイプで珍しいのは、パイプが座ることです、つまりパイプの裏部分がフラットなのでテーブルに置いたときにごろごろしないということです。戦前の銀巻きで座るパイプは今は中々見かけません。珍しいです。このパイプのように作られてから100年近く経つもので、昔の人に吸い込まれたパイプは鼻をボール部分に近づけるとブライヤーに染み込んだ独特のいい匂いがしますし、同じたばこを詰めて吸っても一段と美味しいのは不思議です。僕のパイプの師匠で友人の、オランダのアムステルダムでパイプ博物館を営んでいるドン氏にもこのことを以前聞いてみたのですが、彼のような世界的パイプ研究家でも、分からないと言っておりました。熟練のスモーカーによって長年に渡り丁寧に吸い込まれたパイプはパイプが「育って」いるとでも言いましょうか、とても美味しいのです。その風合いは10年、20年で付くものではなく幾つかの世代をまたいで育てられていくのです。百年ほど前にイギリスの何処かで紳士があれこれと想いを巡らせながら手にして吸っていたその同じパイプを、今自分がその同じものを手にしてまたあれこれと考えることで、昔の人とパイプを介して繋がるというのも不思議な気分です。そして何時の日か自分が死んだ後も別の誰かが、やはりこのパイプを燻(くゆ)らしあれこれと想いを馳せて・・。何か不思議です。