ブルー&ホワイトの皿

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お皿を三枚、両端は今回の仕入れでイギリスの物(左、直径27cm、右、直径17cm)、所謂、ウイロー・パターン(Willow Pattern)と呼ばれる物。真ん中は中国の物(直径28cm)、中々渋い山水画が描かれています。三点共19世紀前半の物です。お皿は時々仕入れますが、色物に比べると染付けは売れるのが遅いです。僕の趣味が悪いのかもしれません。それでも個性的なお皿を見るとつい買ってしまいます。今回の仕入れでイギリスから壁に掛けやすい金具を買って来てお店に飾ってあるので売れるかな、と思ってます。
数年前のこと、60才くらいの知り合いの男性が来店され、パイプを始めたいので教えてくれと言うのです。僕は本物のパイプ・スモーカーになりたい、と。それでこちらは、いいですよ何でもお教えします、と答えたのです。彼は初心者には充分良過ぎるくらいのパイプをここで一本買われて始めました。数週間が経ち店に来ると、インターネットでパイプ・スモーキングに関して調べまくり、膨大な量の知識を得て、僕に質問を次々と投げて来ます。少ない経験しか無いのにそこに潰れんばかりの知識が押し寄せ明らかに混乱している模様です。それにネット上のパイプに関する書き込みや(自分が吸っている)YouTubeの映像など読んでためになるのは恐らく極一部で大半は自慢、自己顕示の世界。中にはパイプを売るために近づいてくる怪しいパイプ作家も居るでしょう。西欧の趣味嗜好品を取り入れるときの日本人特有の病的な細かさ神経質さで色々とあることないこと騒ぐ訳です。
経験が乏しいとその膨大な情報に振り回されて結局その本質に迫ることなく、半永久的に細部の微妙な違いだけに執拗に拘り続けるという悪循環にハマる訳です。まあ、お金を沢山儲けたい嗜好品の専門店にとってはこんなにいいお客様はいません。まさにカモです。
結局その男の人はパイプを始めてから二三ヶ月経った頃、来られてこう言うのです。もう吸い方はほぼマスターした、と。ネットに書かれてあった「○○○法式」というのでマスターした、と。僕からすれば、50メートルのプールを5メートルに縮めてしまい、いやぁ大体端から端まで一気に泳げるようになりました、と自慢するのを聞いている感覚です。彼はネットというツールを使い広大無限な世界を自分で征服し易いサイズに縮め、自己内部を見詰めることなく、「分かった」という矮小な満足感だけを得たのです。
僕は最近このような人は余り相手にしません、申し訳ないけど。本物が欲しい、本物になりたい、と言いながらそれに必要なプロセスを驚くほどの安直さで堂々と省いては頂上に辿り着いた顔をしている。こちらとしては時間の無駄です。山に登りたいと言いながら、登山口付近でフッと姿を消したかと思うと、他のみんなが疲労困憊で汗だくになり頂上に辿り着く前に、ヘリでパタパタと頂上までやって来る奴。しかも本人はそれでも「登った」と思っている。
パイプとは一言で言うと、呼吸を習う、こと。呼吸を通じての自己対話です。だから一生修行と言ってもいいくらい深い、底無しの世界なのです。超マニュアルの世界なのでインターネットとは親和性が低いのです。僕はパイプを始めてから28年です。「底」が見えるなんてとんでもないです。
最近「いい男」が少ない、と女性たちがよく呟いていますが、理由は意外とこんなところにあるのかも知れません・・。

樽型ワイングラス

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今回の買い付けで仕入れたものです。1800〜20年のイギリスのグラス(両端、高さ13,0cm、真ん中、16,3cm)、この時代の樽型のワイングラスは珍しいです。飲み物入れるときれいでしょ、個人的にとても好きなグラスです。こういうのでカルバドスとかスロー・ジンを飲みたいです。この時代のグラスはその少し後のものと比べても、飲み口などのエッジに細かい表情、つまり微妙な変化があり、とても美しいです。地味で飽きのこないものとは正にこういったものだと思います。
ここ一年ほど足繁く通っている中華料理屋があり、中国人の夫婦がやっているのですが、料理の美味しさもさることながら、ご夫婦の愛想の良さに何時も感心させられています。旦那のほうがコックさんなのですが、猛烈に忙しい中でも笑顔を絶やさず、何時行っても底抜けの笑顔で僕たちを出迎え、見送ってくれる。その笑顔が所謂「営業用」ではなく、本当に屈託ない、いい笑顔なんです。最近日本人でこんな笑顔する人見たことないなぁ、と彼の笑顔を見ていつも思います。その笑顔に見送られて店を後にすると、あぁ来て良かったな、と思います。僕もあんな笑顔でお客さんを迎えられるようになりたいな、と思いつつも、相変わらずに僕の店での接客態度は、気怠そうに、やる気の無い小さな声で、「ラッシャイマセ〜」。しかも何処か不機嫌そう、別に不機嫌でもないのに。
まあ、笑顔のアンティーク屋はかえって恐いかもしれない、と言う考えもあります。店内に入ったとたんに、揉み手に笑顔で、「こんにちは〜!何かお探し物でも?」とこられても恐いですし、まあとにかく誰にでも爽やかで親しみ易い笑顔を向けられる、と言うのはとても良い。今からでも遅くない、そうなれるのでしょうか、僕は。
笑顔とまではいかなくても、毎日何時も同じ安定した気分で店に立つ、と言うのはとても重要ですね。イライラせず落ち込んでもおらず負のオーラも出さずに、毎日同じ気分。これなら修行を積めば出来るかもしれません。僕たちが「行きつけの店」に常連として行くとき、そこに期待するのは店主が何時も同じ気持ちで出迎えてくれることではないでしょうか。何時も同じ気分で出迎えてもらい、恰もそこに帰って来たかのように感じる。これは中々にいい気分ですし、人が店にいく理由は単に物ではなくそんなところにもあるのかも知れません。よく夜のお店などのママが「おかえりなさーい」、と言って出迎えているのもそう言ったことなのかしら、、。
ストレスを溜めず、何時も淡々と同じ気分で。
そうありたいと思います。



キプロス島の彩色犬

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紀元前数世紀に作られたキプロス島出土の陶器の犬です(高さ,8.5cm)。これは百年ほど前にイギリス人が持ち帰りコレクションしていた物です。何となく顔が気に入り仕入れました。今回は他にもキプロス島の器を二点仕入れたのでまた改めて紹介したいと思います。
朝早く起きてコンビニに買い物に行くことがあります、取り敢えず手近にあるズボンとシャツを着て、テーブルにあるプラスチック容器の小銭の山から百円玉、十円玉、五円玉などを数枚ずつ摘んでポケットに突っ込みます。「新聞とオレンジジュースと・・」、買う物を考えながら充分なコインを取り出してポケットに入れる。ちょっとリッチな気分。子供の頃駄菓子屋に買い物に行くのに数百円も持って行けばそれは大金です。そんな気分が何処か体から抜けきれていないのでしょうね、だから「ちょっとリッチ」なのです。
アパートのドアを開けて外に出るとコンクリートの床上を大きな黒いアリが一匹、ヨロヨロと蛇行するように歩いています。何か探しでもしているのか五センチも進まないうちに曲がる、また曲がる。アリを踏んで殺したくはないので、ドアの鍵をかけたりするときに足を動かすときも何となく足下を気にしつつ、アリはヨロヨロと、遠ざかっているようでまだ足下をウロウロしている。僕がドアを後に歩いて離れていくとアリもアスファルトの通路をようやく無事に横断して何処かへとヨロヨロ進み去っていく。良かった良かった、アリも無事に通路横断、僕はコインを鳴らしてコンビニへ向かう。
最近、こういう小さな何気ない「出来事」がぼくの愉しみです。

Old wedgwood

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1800年頃のウエッジウッド(本体直径 115mm、高さ 63mm)です、イギリス東部の田舎で見つけました。変わった形でしょ。何に使われたと思いますか、これ、当時の病人に飲み物を飲ませたものです。それにしても、きれいな状態で残っています、ひび、欠けなど全くありません。個人的にこの時代のウエッジウッドはとても好きです。品がありますね。珍品の部類に入るでしょうね。
最近、iPadでネットをする時間を減らすようにしています。最小限にとどめるようにしています。少し前からネットをダラダラとしてしまうと、何だか凄く時間を奪われ損した気分になるのです。自分にとってネットは「気の利いた電話帳」、それ以上でも以下でもありません。読みたい古本や書きたいこともあるので、優先順位を付けると、やはりネットはその次に来てしまう。
先日もGoogle関連の会社から電話が掛かってきて、お宅のお店の内部をウェブ上で見られるようにするサービスがあり、カメラマンを派遣したいとのこと。とんでもない、すぐに断りました。悪いけど、そんな気持ち悪いサービス要りません、と言うのが僕の気持ち。今、NHK取材班と将棋の羽生さんが書いた人工知能に関する本を読んでいます。とても興味深い本です。本の中で羽生さんが、人工知能にふなっしーは作れないと思う、と言っていて、笑いながらも納得。中々鋭いですね。クマモンよりもふなっしーのほうが訳分からない感じで確かに人間にしか作れなさそうです。
これだけ殆どの人が歩いても電車の中でも人と居てもネットに繋がっている時代、なんか、誰かに考えることを委ねてしまい、お願いですから私の代わりに色々と決めて下さい、宜しく、と言うふうに僕には見えて仕方ありません。「鶏と卵」じゃないけど、ネット時代の出現と人が考えなくなった事とのどちらが先なのか。本来はネットも考えるためのツールになり得るのだろうけど、それを上手く使いこなせている人は少ないように見えます。アメリカのアーミッシュでしたっけ、確か。彼らほど厳格ではないにしろ、ネットも携帯もなしで、固定電話とラジカセくらいで暮らせる特区を日本にも作ってくれたら移住したいかとも思います。良い音楽あるよ、なんて友人の家に電話してから喫茶店で会って、カセットテープを手渡すような生活。ちょっと憧れます。それで、家帰ってテープ聴いたら延びてたりして。指や鉛筆をカセットテープの穴に突っ込んでクルクルやってたのが懐かしいです。実は我が愛車、何とカセットテープ聴けるんです、マニュアル車です。車を中古で買ったら、カセットとCDが付いてたんです。カッコいいでしょ。
お元気で、明日は能登半島にドライブに行くので、カセットを聴きたいと思います。この暑さでテープ延びてるかも・・。

20年目

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昨日(6/16)でこの店を開いてからまる19年経ち、20年目に入りました。1998年にオープンした時は36才でした。時間はあっという間に経ちます。今までこのフェルメールに通って下さった方々、本当に有り難うございます。感謝致します。このような好みの偏ったアンティークショップが20年近く地方都市、金沢で続いたのも一重に皆さまのお陰です。自分はもう少し商売が上手かとも思っていましたが、どうやら商才は無さそうですし、今から変わるとも思えません。下手は下手なりに続けていくしかないですね。
両端の写真はギリシャのイコン、19世紀の物、真ん中は19世紀初頭のイギリスのカップです。今回の仕入れで手に入れた物です。今回の仕入れでも色々と変わった物は買いましたが、面白い物は多分ありますが、まあよく分かりません。グラスはたくさん買いました、嫌になるくらい。明らかに買い過ぎですね。アクセサリーもたくさん買いました。ボタンやレースのハンカチも買いました。指輪も結構あります。これから時々このホームページでも仕入れた物を紹介していきますが、どうですかね、面白い物があるのでしょうか。なんか、今日は気分が乗らないので、自分の選んだ物はダメなように思える日なのです。大体こう言うことをホームページに書くこと自体商売人失格です。「素敵な物をイギリスからたくさん仕入れて来ました〜!」、なんて書かないといけないのに。気分が乗らない。
イギリスには四週間居たので色々ありましたね、面白いことも嫌なことも。久しぶりに随分と露骨な人種差別にもあいましたね、まあ面白かったです(これはまた日を改めて書きます)。差別にあって一々凹んでいるようじゃイギリスを一人でウロウロは出来ません。差別はある意味「楽しむ」ものです、誤解を承知で言いますと。
時差ボケも完全に取れましたので、これから物の整理をして、売りたいと思います。珍しい物も少なからずありますが、これは一重にイギリスの友人ディーラーのお陰であります。彼らの友情のお陰で色々と面白い物が集まって来ます。有り難いことです。
差別もあれば友情もあるわけで、この両方があるから(今の自分には)楽しいのですイギリスは、どちらか片方だけではつまんないでしょ。変な言い方に聞こえるかもしれませんが・・。
では皆さんお元気で、これから時々仕入れた物を載せていきます。