18世紀の人々にとってジンとは・・

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18世紀後半のジングラスを3つ(高さ6,8~8,8センチ)並べて写真を撮ってみました。この時代特有のガラスの生地の柔らかさと表情の豊かさがこの写真から感じ取って頂けると良いのですが・・。最近、昔イギリスで買った本で18世紀ロンドンの底辺に生きた人々に関する本を読んでいます。貧しくて住む場所も無く食べ物にも困り果てた人たちが、当時のロンドンでどのような所で命を繋いで暮らしていたかの克明な記録がその本には書かれています。彼らは馬小屋や納屋などに勝手に住み着くこと、も多かったようで、その本の中にこんな話しがありました。商売を営む家の倉庫にある貧しい男が困り果てて住み着き、やがてそこのご婦人と関係が出来てしまいます。ある日、そのご婦人はその男を旦那に見つからない様に逃がすために帳場にあったお金の大半を男に握らせ、大きいジングラスにジンを一杯に注ぎ一気に男に飲ませます。その後男は見つかり捕らえられるのですが、逃がす直前にジンを一気にあおらせるという記述に、とても興味を覚えました。他にも同様の記述があり、特に冬の寒い日などは、乞食同様の人に同情した近隣の人が、ジンを飲ませるのです。寒さと飢えで弱った体を回復させる効果があったのでしょうか。それにしても情夫を逃がす直前にジンを飲ませたグラスはどの様なものだったのか、それともピューター製の大きなマグカップだったのでしょうか、読んでいてそこに興味が湧きました。
僕たちはよく、ワイングラス、ジングラス、リキュールグラス、などと分類しますが、二百年以上も前になるとジン一つとっても様々な飲み方、飲ませ方があるものだとつくづく思います。ちなみに僕は日本でも西洋でも、社会の底辺を生きて来た人々や、何らかの理由で迫害されて来た人々に関する本を読むのが好きで、見つけると大体買います。有名なのは岩波文庫からジョージ・オーウェルやジャック・ロンドンが書いた本が出ていますよね。
今読んでいる本は'Down and Out in the eighteenth century London'という本ですがまだ読み始めたばかりなので、また面白い話しに出くわしたらここで書きたいと思います。

Snuff Box (嗅ぎタバコ入れ)

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18世紀後半の嗅ぎタバコ入れ(口径8センチ、高さ2,7センチ)、イギリスのもので、時代は18世紀後半です。内側は漆が塗られていて、外はエナメル彩です。中央には生命(いのち)の樹(Tree of Life)が描かれています。全体のデザインからして、持ち主が我が妻の多産なることを願っていたのではないかと想像します。細かい説明は敢えてしませんので、このデザインからご想像下さい。少し前にこの箱を眺めていてそう思いました。100パーセントの自信はないですが多分正解だと思います。
小さな箱は好きでなるべく仕入れるようにしています。この写真のような珍しいデザインのものを見れば、出来るだけ買います。理由は簡単、変わった箱は二回は見ないからです。でも、売るのも難しいですね変わった箱は。それを気に入った人がそれを手に取って、買って行ってくれるまで長いこと待たないといけません。何年も売れなくてショーケースに入ったまま、たまに手に取ってみて、「何で売れないんだろ〜、良いのにな〜」なんてことを繰り返していると、ある日突然売れるのです、「突然」は当たり前ですね。そうすると逆に淋しいのですよ、それがないのが。「あれっ、ちょっと前までここにあれがあったのにないよ」と心の中で思うのです。売れても気になる、売れなくても気になる、自分の好きなものが「売れる」ときはそんな気分です。
最近、箱を買って行かれる女性が多いです。箱は何も入れなくてもその中に空間がある、閉じられた空間を所有する楽しさ。その閉じられた空間は200年以上もこうして変わらずそこにある。その空間を買うようなところもあるのでしょうか、どこかしら。箱の魅力は本当に不思議です。何が魅力か良く分かりませんが、プレスでポンと作られただけの量産の箱じゃ嫌なんですよね、その量産箱には個性はないですから、そこにあるのはものを入れると言う機能だけなんです。
と、理屈を捏ねてみました。ソーリー!

続いてジングラス

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前回に続いてジングラス、共にイギリス18世紀後半のもので、左は高さ7,7センチ、口径5,5センチ、右は7,8センチ、4,2センチ。二つとも大分前に仕入れたものですね、普段は裏部屋のショーケースに入れてあったりするので、時々店に出したり引っ込めたり。ここ数年はイギリスでもこの時代のシンプルなグラスは少なくなっています。日本でもそうでしょうがイギリスでもクラシカルなものの良さを分かる人が少なくなっています。それは多分骨董の世界に限らず文学でも音楽でも絵画などもそうじゃないでしょうか。分かり易さが何事も重要。恐らくみんな「分かって楽しめる」ようになるまで待てないんですよね。本の世界なんかも、最初はどれがいいのやら誰がいいのかも分からず闇雲式に読んでいくうちに、少しずつ自己判断基準の定点のようなものが出来てきて、やがてそれが自分の「地図」のようなものとして姿を現す、でもそこにいくまではじっと我慢しながら待たないといけない。一昔前まではそれしか方法がなかったので、いやでも我慢した。というか、最近は何も待たなくていいんですよね、だって色んなものが「パッと」現れてくれますから。
十月四日に金沢の香林坊窟でトークショーをするので(NEWSのページに詳細があります)日々準備しておりますが、中々遅々として進まず、一つのテーマについて考え続けそれをノートに書き溜めていくという作業をしています。書いたりする上での自分の悪い癖なども前よりも強く自覚させられ、自分がものを考えるときも如何に楽をしようと(半無意識に)しているのか痛感しています。きっと僕も「待てなく」なっているんですね。反省です。

ジングラス

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イギリス18世紀後半から末にかけてのジングラスです(高さ5,6㌢、口径5,2㌢)。お店を開いてからずっと18世紀のジングラスを買い続けていますが、この形は初めてです。ちょうど掌の中で隠れてしまう大きさです。写真にあるようにスコッチか日本酒でも入れてチビチビとやるにはちょうど良い大きさ。古いグラスなので飲み口の部分にも表情がふんだんにあり楽しめます。ここ五年くらい18世紀のグラスもあまり出回らなくなっているので、このような地味で個性的なグラスは必ず仕入れます。売れるのが二週間後だろうが五年後だろうが、とにかく仕入れて、こうやって一つひとつ増やしていきます。
このグラスの魅力を写真に収めるのは難しいです。また後で撮り直そうかしら、とも思っています。中に入っているのは「やまや」で買った980円のブランデーですがグラスが良いと美味しそうに見えますね。
今日は暑くて誰も来店しません。今日は夜、英会話を教えるのでその予習を今からしますかね。体験の方も来ることだし。今日のように店が暇な時は、昼間に余したエネルギーが夜の英会話に注がれるので、生徒さんが犠牲(?)になります。いつもより発音練習が厳しかったりして。もちろん教室の英語はイギリス英語です。最近はまたイギリス英語の教材が少なくなって来て、日本で出ている既成の教材は付属のCDなんかも大体アメリカの発音ですね。教材はロンドンの本屋で買ったりしています。
ジングラスの紹介記事だったのに英会話の話になりました。
今日の教材プリントに載っていたジョークを書いて終わりにします。
A: Have you noticed any change in me?
B: No. Why?
A: Well I've just swallowed twenty-five pence by accident.

木製ケース入りのタンブラー(その2)

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左の写真にあるように、蓋の裏側に丸く付いている黒い跡がタンブラーの上の部分が当たって擦れた跡です。木のケース奇麗でしょ、ガンバって撮ったので、お陰で今これを書いていて眠いです、眠い。午後三時、誰も来ません。睡魔と戦っていると仲の良いディーラーから電話があり話すこと半時間。お陰で目が覚めました。この木のケースに入った18世紀末のタンブラーはこの17年間で初めて見たものです。ガラスも木のもの(イギリスでは'Treen'というアンティークのジャンルになります)も一応目利きが出来るので、本物だ、間違いないと分かることが出来ました。こういう時に、今までに歩いて手で触って見て来たものの数がものを言います。グラスを専門にやっているイギリス人の友人にこれを見せたら驚いていました、彼はグラスを30年商っていますが、'I've never seen it'
と言ってました。まあ、希少性は置いといても、本当に奇麗なものです。売り物ですが、ちょっとだけ売りたくない気持ちがありますね。