Snuff Box (嗅ぎタバコ入れ)

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18世紀後半の嗅ぎタバコ入れ(口径8センチ、高さ2,7センチ)、イギリスのもので、時代は18世紀後半です。内側は漆が塗られていて、外はエナメル彩です。中央には生命(いのち)の樹(Tree of Life)が描かれています。全体のデザインからして、持ち主が我が妻の多産なることを願っていたのではないかと想像します。細かい説明は敢えてしませんので、このデザインからご想像下さい。少し前にこの箱を眺めていてそう思いました。100パーセントの自信はないですが多分正解だと思います。
小さな箱は好きでなるべく仕入れるようにしています。この写真のような珍しいデザインのものを見れば、出来るだけ買います。理由は簡単、変わった箱は二回は見ないからです。でも、売るのも難しいですね変わった箱は。それを気に入った人がそれを手に取って、買って行ってくれるまで長いこと待たないといけません。何年も売れなくてショーケースに入ったまま、たまに手に取ってみて、「何で売れないんだろ〜、良いのにな〜」なんてことを繰り返していると、ある日突然売れるのです、「突然」は当たり前ですね。そうすると逆に淋しいのですよ、それがないのが。「あれっ、ちょっと前までここにあれがあったのにないよ」と心の中で思うのです。売れても気になる、売れなくても気になる、自分の好きなものが「売れる」ときはそんな気分です。
最近、箱を買って行かれる女性が多いです。箱は何も入れなくてもその中に空間がある、閉じられた空間を所有する楽しさ。その閉じられた空間は200年以上もこうして変わらずそこにある。その空間を買うようなところもあるのでしょうか、どこかしら。箱の魅力は本当に不思議です。何が魅力か良く分かりませんが、プレスでポンと作られただけの量産の箱じゃ嫌なんですよね、その量産箱には個性はないですから、そこにあるのはものを入れると言う機能だけなんです。
と、理屈を捏ねてみました。ソーリー!

木製ケース入りのタンブラー(その1)

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今年6月の仕入れで仕入れたものの中でもとびきりに珍しいもの、イギリス18世紀末のタンブラーが、ほぼ同時代の木製の挽きもののケースに入っています。この時代の吹きのタンブラーならたまにもっているのですが、それに合わせて作らせた同時代の木のケースに入れてあるのがとても貴重なのです。ケースの内側にガラスのエッジに添うようにして付いている擦れ跡、タンブラーの状態などからして少なくとも200年くらいはこの二つが動かずに別れずいたのは間違いなさそうです。そうそう、大きさを書き忘れてました、タンブラー、6,7㌢(タテ)、5,9㌢(ヨコ)、木製ケース、8,2㌢(タテ)、7,3㌢(ヨコ)です。

木のスプーン(その2)

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取っ手部分の雰囲気は丸でヴァイオリンか何かの弦楽器を見ているようですね、裏の貝模様のような彫りは、同じような模様がもう少し後の時代のイギリスのシルバー・スプーンにも見られます。恐らくソース・スプーンだと思います、これで肉汁なんかも肉の上にかけたのでしょうか。でも、300年前と言えば、フォークもさほど普及しておらず、きっとかなり野蛮な食べ方だったと思うのですよ、でも何故こんなまでにこのスプーンのフォルムは繊細なの?と思いますが、恐らくその時代が「当たり前」のように求めるライン(線)がそれほど細やかだったと言うことでしょうか。これ程繊細且つ力強く美しい物に囲まれている18世紀初頭の生活を想像すると、不思議な恍惚感を覚えますし、そこに生きていた人間もそれと同等の、物に比例した魅力を備えていたと思っていいでしょう。物と人は比例するんですね、きっと。物も薄くなると、人も薄っぺらになる。不可逆性のない下降運動のようです残念ながら。
「機能美」とかそんなモンキリ言葉を言うよりも、ホント、奇麗でしょ。もうそれだけです、奇麗、うっとり、スプーンを持つ手が自然と和らぎます。触るだけで本当に愉しいものですねこれは。

木のスプーン(その1)

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今回の仕入れで仕入れた物、凡そ300年前の木のスプーンです。もちろんイギリスの物、Sycamoreという木で作られていて、イチジクの木らしいです。長さ約13センチ、ボール部分の大きさ約4センチ。このようなアンティークはイギリスのアンティークの世界ではTreen(トゥリーン)というジャンルに入り、最もマニアックなものです。専門のディーラーがいますが、Treenのものだけで店を開いている人は多分いないでしょう、見たことないです。それだけ物も少ないし最近は高価で売買されます。ぼくも18世紀の木の物はとても好きなのですが、何せ仕入れが難しいです。でも、今回はたまたま運良く、こんなに美しいのが入りました。今まで仕入れた木のスプーンで断トツ最高の魅力です。

オールド・デカンター(その2)

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さすがに奇麗な物なので写真が三枚では収まりません。この右の写真、中々気に入ってます。逆光で暗く光るデカンターの左後ろにぼんやりとツツジが咲いています。向かいの病院の花壇に咲くツツジが今満開なのです。このデカンターは貴族や豪商などが使った物なので、ガラスの生地も薄く青みを帯びていますが、逆光で明度を落として写真を撮ると、ガラスがこんな色に写るのです。奇麗でしょ、と自画自賛。まっ、いいかたまには自賛しても。
これにロゼのワインなんか入れたら奇麗でしょうね。入れなくても十分に奇麗ですが、ふとそんなことを今思いました。それにしてもこのグラスよく250年以上も無事に割れずに生き延びて来たものです。どんな召使いやご婦人がこれからワインをグラスに注いでいたかを想像すると不思議な気持ちになりますし、18世紀の上流階級の英語など聴いてみたいものです、もし可能ならば。